孤独に押しつぶされそうなあなたへ。『閉鎖病棟―それぞれの朝―』(2019年、日本、PG12)

こんにちは、シュンちゃん(@vani_1103)です。

今回は、映画『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の感想です。

引用:日本精神科病院協会

製作年:2019年

製作国:日本

ジャンル:ドラマ/サスペンス

上映時間:117分

映倫:PG12

視聴環境:映画館

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の感想:満足度100%

鉄格子のこちらと向こう

1980年代。

ぼくの生まれ育った町には、閉鎖病棟を持つ病院があった。

小学校の帰り道に、「中にどんな人がいるのか」と鉄格子のある窓の向こうから聞こえるうめき声を聞きながら想像していた。

どうしてここに入れられてしまったのだろう。

鉄格子を挟んだこちらと向こうでは、何が違うのだろう。

ぼくは、いったいどちら側の人間なんだろう。

 

孤独が集まる場所

秀丸さんは言う。

「ここにいたら、どんどん患者になっていく。行けるところがあるのなら、早く出た方がいい」。

でも、ぼくには行けるところなんてない。

社会から排除された人。

心や身体に傷を負った人。

感情をコントロールできずに他者や自分自身を傷つける人。

閉鎖病棟とは、そんな孤独な人たちが集まる場所。

けれど、孤独はいつまでも癒されることなく、ただ、孤独な人が集まる場所。

 

明けない夜はない

現実と虚構を行き来する中で、命を絶ってしまう人もいる。

自分が今どちらにいるのか分からないまま。

家族に性的暴行を加えられていた人がいる。

居場所を求めて閉鎖病棟にやってきた。

なのに。

やっかい者であるぼくたちが全部悪いのかな。

早くこの世から消えてしまえばいいのかな。

そんなことを考えながら町の片隅でうずくまっていた。

いつのまにか、暗かった空が明るくなり始めていた。

「明けない夜はない」。

涙が枯れるまで泣いた。声が枯れるまで泣いた。

そして、前を向いて歩き始めた。

 

「生きたい」

この世には、「生きる価値のない人間」がいるのだろうか。

早く死んだ方がいい人がいるのだろうか。

殺された方がいい人がいるのだろうか。

ぼくは、生きる価値がない人間なのかもしれない。

でも、それでも、ただ、「生きたい」。

もしも願いが叶うなら、社会と閉鎖病棟が、ひと続きであってほしい。

閉鎖病棟がかれらの最後の居場所にならないように。

看護師の井波さんはこんなふうに言ってくれた。

「ダメだったら、いつでも戻ってくればいいじゃない。ゆっくり、ゆっくり」。

行ったり来たりしながら、再び社会と交じり合えるような場所であってほしい。

 

「生きること」それ自体に価値がある

ぼくたちは、一人では生きられない。

そんな半端なぼくたちでも、支え合ってなら生きていける。

「生きる価値があるかどうか」ではない。

「生きること」、それ自体に価値があるんだ。

秀丸さん、ぼくたちは先に外に出て待ってる。

ぼくたちは一人では歩けないかもしれない。

でも、「歩こう」という意思を持ってぼくたちが一緒になって、支え合えば、生きていけると思うんだ。

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の作品情報

あらすじ

『愛を乞うひと』『エヴェレスト 神々の山嶺』の平山秀幸監督が精神科医でもある帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作を、主演に『ディア・ドクター』『おとうと』の笑福亭鶴瓶を迎えて映画化したヒューマン・ドラマ。死刑執行に失敗し生きながらえた元死刑囚が入院する精神病院を舞台に、それぞれに辛い事情を抱えて病院にやって来た患者たちが織りなす悲痛な人間模様を切なくも優しい眼差しで綴る。共演に綾野剛、小松菜奈。

死刑執行が失敗し生きながらえた秀丸は、扱いに困った法務省によって精神病院に送られる。執行の際に負傷し車椅子生活を送る秀丸は、誰に対しても優しく接し、周囲の患者ばかりか病院関係者からも慕われる存在だった。そんな秀丸が出会ったのは、幻聴に苦しむ元サラリーマンのチュウさんとDVを受けている女子高生の由紀。世間に居場所のない3人だったが、互いに支え合い、懸命に生きていこうとしていた。ところがある日、突然の悲劇によって3人の運命は大きく狂わされていくのだったが…。

allcinema(外部サイト)

予告編

キャスト

笑福亭鶴瓶 / 梶木秀丸

綾野剛 / 塚本中弥(チュウさん)

小松菜奈 / 島崎由紀

高橋和也 / 大谷

木野花 / 石田サナエ

渋川清彦 / 重宗

小林聡美 / 井波

坂東龍汰 / 丸井昭八

平岩紙 / キモ姉

綾田俊樹 / ムラカミ

森下能幸 / ダビンチ

水澤紳吾 / ハカセ

駒木根隆介 / テッポー

大窪人衛 / フーさん

北村早樹子 / オフデちゃん

大方斐紗子 / おジギ婆さん

村木仁 / ドウさん

片岡礼子 / 島崎佳代

山中崇 / 島崎伸夫

根岸季衣 / 塚本富子

ベンガル / 酒井

スタッフ

平山秀幸 / 監督

帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)「閉鎖病棟」(新潮文庫刊) / 原作